髪を結んだり、ねじってクリップで留めたりしたあと、ほどくときに一部分だけ引っかかる。そんなとき、「髪が傷んだからトリートメントを足さないと」と考える方もいるかもしれません。
けれど、引っかかりの原因はトリートメント不足だけとは限りません。髪の状態に加えて、結ぶときの力、ねじり方、留め具の外し方、濡れた髪の扱いなど、毎日の動作が関係することがあります。美容師歴20年の僕がサロンワークで気づいたことと、家で無理なく見直せるポイントをお伝えします。
強く引っ張ったり、ねじったりした部分が引っかかることがあります
僕が現場で感じているのは、髪を強く引っ張ったり、強くねじりながら留めたりしていると、その部分があとでかなり引っかかりやすくなることがある、ということです。これは僕のサロンワークでの気づきで、すべての髪に同じことが起きると断定するものではありません。
髪は一本ずつ独立して動くのではなく、束になって重なっています。きつくまとめた束を急に引き戻したり、ねじった部分をそのまま引き抜いたりすると、毛先や短い毛が留め具に絡むことがあります。カラーや縮毛矯正を繰り返した毛先、乾燥している部分では、もともとの手触りや髪同士の滑り方も異なるため、同じ結び方でも引っかかり方に差が出る場合があります。
ただし、結び目が引っかかるからといって、髪の内部が大きく傷んでいるとは限りません。結び方だけで原因を決めず、どの場所で、濡れている時か乾いている時か、いつから気になるかを見ていきます。
まずは「結ぶ力」と「ほどく動作」を変えてみる
引っかかったとき、強く引いて一気にほどこうとすると、絡まった部分にさらに力がかかります。まず留め具や結び目をゆるめ、引っかかっている場所を指で小さく分けながら、毛先側から少しずつほどいてみてください。髪を引っ張り合う方向ではなく、絡まりをほどく方向へ動かすのが基本です。
毎日結ぶ方は、結ぶ位置を少しずつ変える方法もあります。同じ場所をきつく引っ張る習慣があるなら、ゴムを強く締めすぎていないか、ねじりを何度も重ねていないかを確認します。クリップを外すときも、髪をまとめた方向と逆へ勢いよく引き抜かず、留め具を開いてから髪を外します。
結び方だけで髪の状態がすべて変わるわけではありませんが、引っかかる動作を毎回繰り返さないことは、日々の摩擦や引っ張りを増やさないための工夫になります。痛みを感じるほど引っ張られている場合は、結び目をゆるめることを優先してください。
濡れた髪は、根元から無理にとかさない
シャンプー後に髪が絡まるとき、根元から一気にコームを通すと、絡まりが毛先へ集まって動かしにくくなることがあります。タオルで強くこすらず水気を取り、毛先の絡まりを指でほどいてから、必要なら目の粗いコームを使います。一度で通らない場所は、無理に引かず、少量ずつ分けてください。
洗い流すトリートメントは、髪の状態や処方によって手触りを整える助けになります。2026年にJ-STAGEで公開された原著研究では、水添レシチンを含む特定のトリートメント処方について、すすぎ中のpH変化と成分の電荷変化に着目し、毛髪への吸着挙動と処方性能を検討しています。これは一つの成分・処方を対象にした研究で、「どのトリートメントでも絡まりが解消する」「結び方による引っかかりがなくなる」と示したものではありません。研究の抄録から確認できる範囲を超えて、製品全般の効果へ広げないことが大切です。
トリートメントをつけるときは、商品表示に沿って中間から毛先になじませ、すすぎ方も説明に従います。髪が滑らかになったと感じても、勢いよく引っ張ってよいわけではありません。ケア剤は扱いやすさを支える選択肢の一つで、ほどき方そのものの代わりではないからです。
引っかかりの場所と髪の履歴を分けて見る
結んだところだけなのか、毛先全体なのか、濡れた時だけなのか。それを分けると、見直す方向が変わります。結び目をほどく時だけ引っかかるなら、結ぶ力や外し方を先に調整できます。毛先全体が濡れると絡み、乾かしてもまとまらないなら、カラーや縮毛矯正の履歴、毛先の摩耗、乾燥なども確認します。
サロンでは、表面の写真や一度触った感触だけで薬剤を決めません。根元・中間・毛先の状態と、いつどの施術をしたかを確認し、必要なら髪を濡らした時の弾力や乾く過程の変化も見ます。縮毛矯正の履歴が残っている毛先へ、引っかかるという理由だけで薬剤を重ねることはありません。髪の体力が十分でない場合は、施術をせず、日々の扱い方とホームケアを先に整えることもあります。
一度の仕上がりだけでなく、次の半年、1年でどこまで髪を残すかを考えると、必要な施術と避ける施術を分けやすくなります。トリートメントを追加する前に、毎日どこで力がかかるのか、毛先にどんな履歴があるのかを一緒に見直すのが出発点です。
まとめ|引っかかったら、強く引く前に原因を分ける
髪を結んだ後の引っかかりは、髪のダメージだけでなく、強く引っ張る・ねじる・留め具を急に外すといった扱い方が関係することがあります。僕の実感をすべての方に当てはめることはできませんが、まずは結ぶ力をゆるめ、絡まりを毛先から少しずつほどくことから始められます。
トリートメントの研究も、特定の成分や処方で得られた結果を、すべての商品や髪へそのまま当てはめることはできません。商品を増やすだけで解決しないときは、髪の場所、施術履歴、濡れた時の状態、毎日の扱い方を分けて考えます。
茨木市で髪質改善や縮毛矯正を検討していて、どこから見直せばよいか分からない方は、安達直人の施術方針をご覧ください。これまでのカラーや縮毛矯正の履歴、日常のお手入れについては、公式LINEから相談できます。実際の髪の状態に合わせて、薬剤・熱・処理剤・ホームケアを整理し、施術をしない方がよい場合も含めてご提案します。
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参考研究
– 野村雄一朗・宮本敬子「水添レシチンを配合したトリートメント処理による毛髪への特異的な吸着挙動に関して」『日本化粧品技術者会誌』60巻3号、141–147、2026年。水添レシチンを含む特定処方に関する原著研究です。今回確認できたのはJ-STAGEの書誌情報と抄録であり、個々の製品や結び方による絡まりへの効果を示す研究ではありません。J-STAGE掲載ページ / DOI