「美容室のトリートメントを続ければ、傷んだ髪は元に戻りますか?」
「補修と書かれた商品を使っているのに、数日すると手触りが戻ってしまいます」
茨木市で髪質改善や縮毛矯正を担当していると、こうした質問をよくいただきます。先にお答えすると、トリートメントで手触りやまとまりを整えることはできます。ただし、伸びている髪が生きた組織のように治り、施術前の状態へ完全に戻るわけではありません。
「補修」という言葉の中には、髪の表面をなめらかにすること、成分を付着させて指通りを整えること、特定条件で髪の性質を測定した研究など、幅があります。ここをひとまとめにすると、期待と実際の変化がずれてしまいます。
トリートメントで感じやすい変化
コンディショナーやトリートメントは、髪の表面に成分を付着させたり、摩擦や絡まりを抑えたりして、指通りや柔らかさ、まとまりを整える目的で使われます。乾燥して広がる髪が扱いやすくなることもあります。
研究では、特定のコンディショニング成分を毛髪へ繰り返し使用し、表面の硬さや濡れた時の性質などを調べています。ブリーチ毛へ特定の化粧品処方を使い、表面の性質が変化したと報告する研究もあります。ただし、試験に使われた髪、成分、濃度、手順は限られています。すべての製品が同じ変化を起こす、という意味ではありません。
大切なのは「補修と書いてあるから治る」と考えるのではなく、使用後にどんな変化が出たかを見ることです。指通り、乾かしやすさ、広がり、毛先の絡まりがどう変わるかを確かめます。
「髪が治る」と「髪を扱いやすく整える」は別です
髪は頭皮から伸びた後、自分で傷を治す働きを持つ生きた皮膚とは異なります。トリートメントをしても、過去のブリーチや縮毛矯正で変化した部分が、生えてきた時と同じ髪へ戻るわけではありません。
一方で、髪の表面や毛髪繊維の性質に働きかける成分や処方の研究は行われています。特定の条件下で、手触りや表面の状態、力学的な性質に測定可能な変化が出ることはあります。これは「何も変えられない」ということではありません。ただし、研究で観察された変化を、あらゆる市販品やサロンメニューに当てはめることもできません。
僕はお客様に「髪を治します」とは説明しません。必要な成分や処方を選び、髪を扱いやすく整え、日々の摩擦や熱の負担を減らすことを目指します。どこまで変化するかは、髪の状態と使う製品、使い方によって異なります。
効果が長く続くかは、製品や髪の状態で変わります
トリートメント後に手触りが良くなっても、洗髪や摩擦、紫外線、ドライヤーやアイロンなどの影響を受けます。変化の感じ方や続き方は、髪の傷み方、製品の処方、使う量や頻度によって違います。「何日持つ」と一律には言えません。
毎日使うホームケアと、サロンで施術工程に合わせて使う処理剤も役割は同じではありません。サロンでは薬剤を流した後や熱を入れる前後など、施術のどの段階で何を補いたいかを考えます。自宅では商品の表示に沿い、髪質に合う量と頻度で使うことが基本です。サロン用の処理剤を自己判断で混ぜたり、濃度を変えたりすることは避けてください。
トリートメントを増やしても整わない時は、原因を分けて考えます
髪の広がりやパサつきは、必ずしも補修成分が足りないためとは限りません。うねり、カラーや縮毛矯正の履歴、毛先の摩耗、熱や摩擦、製品の重なりなど、見た目が似ていても理由は異なります。
たとえば、濡らした時に伸びやすく切れそうな部分があるなら、トリートメントを追加して縮毛矯正を続けるのではなく、薬剤を避ける、施術を見送るといった判断が必要な場合があります。反対に、髪の形そのものが原因の広がりなら、表面をなめらかにするケアだけでは希望の形にならず、必要な範囲へ縮毛矯正を検討することもあります。
美容師歴20年の僕が施術前に見るのは、商品名より髪の履歴です。カラーや白髪染め、ブリーチ、縮毛矯正をした範囲を確認し、根元・中間・毛先の状態を分けます。そのうえで、薬剤の強さや塗り分け、熱の入れ方、処理剤の種類を決めます。毛先の体力が足りなければ、薬剤を重ねないことを優先します。
半年後、1年後に髪を残すための補修
一度の仕上がりだけでなく、次のカラーや縮毛矯正まで髪をどう扱うかも大切です。半年後に根元の縮毛矯正を予定しているなら、今すでに伸びている毛先へ薬剤と高温のアイロンを重ねず、ホームケアで摩擦を減らして残す方がよい場合があります。
1年後に白髪染めと縮毛矯正を続けたいなら、補修トリートメントだけでなく、カラーの範囲、施術の間隔、乾かし方やアイロンの習慣も見直します。必要なケアは髪の状態に合わせて選び、重さや硬さが出た時は量や頻度を調整します。
まとめ|補修は「元通り」ではなく、今の髪を整えること
トリートメントは、髪の表面や手触り、まとまりを整える選択肢です。製品や研究条件によっては、毛髪の表面や物性の変化が確認されることもありますが、髪を生えてきた時と同じ状態へ完全に戻すものではありません。
髪の状態が整わない時に、補修成分を足し続ける必要があるとは限りません。うねり、薬剤履歴、熱、摩擦、製品の重なりを分けて見て、薬剤・熱・処理剤・ホームケアのどこを変えるかを判断します。髪の体力によっては、施術しないことも選択肢です。
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施術は大阪府茨木市のboutique茨木店にて、安達直人が担当します。ご予約の際は安達直人をご指名ください。
参考資料
- コンディショナーが毛髪表面の硬さへ与える影響を調べた研究 — 特定の高分子コンディショナーを用いた毛髪繊維の試験です。
- ブリーチ毛に対する化粧品エマルションの表面特性を調べた研究 — 特定の毛髪試料と処方による結果で、すべての商品や髪へ一般化はできません。
- 化学処理毛に対する補修製品を顕微鏡等で分析した研究 — 試験した髪と製品に限られた結果であり、個々のお客様の仕上がりを保証するものではありません。