HAIR CARE JOURNAL

縮毛矯正はアイロンの速さ・力・回数で仕上がりが変わる

「しっかり伸ばすには、アイロンをゆっくり通す方がよいですか」

「何度も通した方が、くせはきれいに伸びるのでしょうか」

縮毛矯正のアイロン工程を見ると、同じところを通す速さや回数が気になる方もいると思います。けれど、ゆっくり、強く、何度も通すことが、きれいな仕上がりにつながるわけではありません。

速さは髪に熱が触れる時間、テンションは毛束を引く力、回数は熱を重ねる量に関係します。僕はこの三つを別々に決めず、毛束の厚さ、薬剤の反応、水分状態、これまでの施術履歴まで合わせて調整しています。

今回は、前の記事で触れた「温度以外の条件」の中から、アイロンの速さ・力・回数に絞ってお伝えします。

アイロンの速さは、髪が熱に触れる時間を変えます

同じ設定温度でも、毛束の上をゆっくり進めば接触する時間は長くなり、速く動かせば短くなります。だからといって、遅いほどよく伸びる、速いほど髪に優しいという単純な関係ではありません。

速過ぎて髪の形が十分に整わなければ、同じ場所へ何度も戻ることになります。反対に、必要以上にゆっくり進めれば、一度でも熱を与え過ぎる可能性があります。

さらに、薄い毛束と厚い毛束では、同じ速度で通しても内部への熱の伝わり方が同じではありません。ブロー時の温度変化を計算した研究では、一本の毛髪と毛束とで温度分布が異なるモデルが示されています。これはブロー時の理論モデルで、縮毛矯正のアイロンを直接比較した試験ではありませんが、毛束の厚さを無視して速度だけを決められない理由の一つです。

施術では、数字で「一秒に何センチ」と固定するのではなく、毛束の厚さと髪の反応を見ながら、一度の操作で必要なところへ熱を届けられる速さを選びます。

テンションは「強く引っ張ること」ではありません

美容師が言うテンションとは、毛束を整えるために加える引っ張る力のことです。くせが強いと、強く引けば伸びそうに見えます。しかし、髪を強く引っ張ったまま高温のプレートで挟むと、熱に加えて物理的な力も重なります。

テンションが足りなさ過ぎると毛束がばらつき、折れや不自然な形につながることがあります。一方、必要以上の力は、細い髪、顔まわり、白髪染めを繰り返した毛先などへ負担になり得ます。

僕が見ているのは、強く引いたかではなく、髪がきれいに並び、無理のない方向へ動いているかです。根元を立ち上げたい場所と、丸みを残したい毛先でも、同じ力や角度にはしません。

通す回数は、多ければ丁寧という意味ではありません

アイロンを何度も往復させると、一回ごとの熱が低くても影響は積み重なります。実験条件では、熱を繰り返し与えた毛髪に表面や内部の変化が確認されています。サロン施術をそのまま再現した研究ではありませんが、回数を無制限に増やしてよいとは考えない根拠になります。

ただし、「一回で終える施術なら必ず安全」という意味でもありません。一回の速度が遅過ぎる、強く挟み過ぎる、髪の状態に対して温度が高過ぎる場合は、回数が少なくても負担になります。

大切なのは回数の少なさを競うことではなく、薬剤で整えた髪へ必要な操作を行い、不要な往復を減らすことです。

実験室で一定の温度や回数を与えた毛束の研究は、熱の重なりを考える参考になります。ただし、毛束の条件や薬剤履歴が違うため、結果をそのまま一人ひとりのサロン施術へ当てはめることはできません。

薬剤の反応不足を、アイロンの力で補わない

よくある失敗の一つは、薬剤の反応が足りない髪を、遅い速度、強いテンション、多い回数で伸ばそうとすることです。仕上がり直後はまっすぐに見えても、硬さや毛先の負担につながることがあります。

反対に、薬剤が強く作用した髪へ、いつもどおりの熱を重ねることも避けたいところです。縮毛矯正は、薬剤工程とアイロン工程のどちらか一方だけで完成させる施術ではありません。

根元、中間、毛先のダメージレベルに合わせて薬剤とpH、塗る範囲を決め、洗い流した後の弾力や水分を確認する。その状態に対して、毛束の厚さ、速度、テンション、回数をつなげます。処理剤も必要に応じて使いますが、薬剤や熱の過剰な負担を後から帳消しにするものではありません。

同じお客様でも、場所ごとに通し方を変えます

新しく伸びた根元は今回初めて縮毛矯正をする部分ですが、中間から毛先には以前の縮毛矯正やカラー、毎日のアイロン履歴が残っています。顔まわりは細く、後頭部は毛量が多いなど、一人の髪の中にも差があります。

そのため、全体を同じ幅で取り、同じ速度と力で同じ回数だけ通すとは限りません。根元はくせを整えながら自然な立ち上がりを残し、既に形が整っている毛先は熱を入れない。弱くなった部分は毛束から外す。このように施術範囲を分けることがあります。

美容師歴20年の中で感じるのは、きれいに仕上がる条件は「強く伸ばせたこと」より、髪の状態に合わせてやり過ぎを止められたことにある、ということです。

あえてアイロンを入れない、縮毛矯正をしない判断

濡れた時の弾力が大きく低下している、毛先に切れやチリつきがある、ブリーチや暗いカラーの履歴が分からない。そのような髪は、速度や温度を変えれば必ず施術できるわけではありません。

毛先を外して根元だけ施術する、髪質改善やカット、ホームケアを先にする、今回は縮毛矯正そのものを見送ることがあります。今の一回を成立させるより、半年後、1年後にもカラーや縮毛矯正を選べる髪を残す方が大切だからです。

自宅のアイロンは「必要な場所に一度」を目安に

自宅で同じ場所を何度も挟む方は、温度だけでなく、乾き残し、毛束の厚さ、引っ張る力を見直してください。まず完全に乾かし、髪を細かく取り過ぎず、強く引っ張らずに必要な場所へ使います。形が整わないからと、同じ場所を繰り返し往復するのは避けたいところです。

ミストやオイルは、髪の細さ、カラー履歴、普段の熱の使い方に合うものを必要な量だけご提案します。商品をつければ熱の影響がなくなるわけではありません。毎朝広い範囲へアイロンが必要なら、商品を増やす前に、縮毛矯正の範囲や周期、髪型を見直す方が扱いやすくなる場合があります。

まとめ|速さ・力・回数は、髪の状態から決めます

縮毛矯正のアイロンは、ゆっくり、強く、何度も通せばよいものではありません。速度は接触時間、テンションは毛束へ加わる力、回数は熱の重なりに関係します。そこへ毛束の厚さ、薬剤反応、水分、施術履歴を合わせて、一人ひとり、場所ごとに決めます。

茨木市で縮毛矯正や髪質改善を受ける美容室を探していて、「自分の髪はどこまで熱を入れて大丈夫なのか分からない」という方は、設定温度だけでなく、毛先へ施術する必要があるかまで相談してみてください。

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